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すなっちゃん・なっぽーBELLRING少女ハート

ジャズとアイドルは取ってつけろ

キャッチーで甘いメロディ。切ないディストーションギター。
それをところどころで、破壊する楽曲構成がすごい。
なんと途中で急にジャズになってしまう。
そのジャズは、取ってつけたような感があるんだけど、取ってつけたような感こそが面白く思えるのはなぜだろう。
結局どこがサビなのかわからなかった。
舌っ足らずなユニゾンが醸し出す素人感。
最後は咳き込んで終わる。

『すなっちゃん・なっぽー』。Snatch an Apple。ペンパイナッポーアッポーペンを先取りしたようなタイトルだ。
結論としては、耳に残る良い曲だ。なぜ良いのかは分からない。

MVも尖っている。
富士山?をバックにした広大な空き地に、ひぐらしの鳴き声がサンプリングされている。
曲のイメージと見事にフィットしていない。
とりあえず楽器を弾いてアーティストぶるアイドルへの皮肉ともとれる、これ見よがしなあてふりバンド演奏。
ギャグではなくシュール。
アイドルにありがちなほっこりした笑いに背を向ける。

残念なことにBELLRING少女ハートは今年いっぱいで活動を休止する。
朝倉みずほは卒業、柳沢あやのは卒業し、ソロ活動に移行するのだ。
朝倉みずほがブログで次のように言っていた。

"私はね、ベルハーは
衣装と曲があればベルハーだど思ってます"

アイドル当の本人としては、ひどく冷静な認識だ。
これはある意味で正しいが、ある意味で間違っている。

先述したようにBELLRING少女ハートの初見でまず印象づけられるのが、一筋縄ではいかない魅力を持つ楽曲だ。
そして、「漆黒のセーラー服と異形の羽」という統一感のある衣装。
着ている人間が変わってもグループが変わらないのは、過去のたくさんのメンバー離脱が物語っている。
運営の田中紘治はすでに新メンバーの採用に動いているらしい。

しかし、朝倉みずほには朝倉みずほの物語がある。
"私はね、ベルハーは
衣装と曲があればベルハーだど思ってます"
こんな認識をさらっと持ててしまうメンバーを抱えていることはBELLRING少女ハートのアイデンティティだ。
そういう意味で、衣装と曲のみならず、朝倉みずほはベルハーの強力な武器だった。


『すなっちゃん・なっぽー』は実は歌詞も良い。

"瞳に泳ぐ ふらちな季節

くたびれた その横顔が
ずるく Snatch an Apple
奪い去るように手をつないでくれた
放課後を追われるように
胸騒ぎ 季節はずれの林檎ひとかじり"

ふらちな季節は胸騒ぎではじまる。
しかし、ドタバタと曲が展開した後の、静かなエンディングは次のように迎える。

"奪い去るようにつないでくれた手で
成熟へ追われたんだ
明け方に 涙の味で林檎ひとかじり

瞳に泳ぐ つめたい空"

フリーダムな曲とシュールなMVで、堅牢に、歌詞の感傷は隠されている。
成熟へ終われ、明け方に、涙、つめたい空。
歌い出しとのコントラストを意識すれば、作詞家、空五倍子のセンスにも気づける。
ちなみに空五倍子は田中紘治の別名らしい。紛らわしいな。

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written by bluemonday

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