ZeroBeat自分でみつける音楽のためのWEBメディア

生きていたんだよなあいみょん

正しい十代のうた

あいみょんは、影のある少年のような声をしている。あいみょんの最大の個性は、ハイパフォーマンスなこの声にある。尖った強いエゴや、その奥で守られている心の震えを、言葉を乗せずとも伝えてしまう蒼い声だ。

アコースティックギターのストロークよりもスピーディーに畳み掛けるメロディは、声の次に独特だ。野狐禅の竹原ピストルに似ていると指摘されているが正しいと思う。フォークの流儀だ。声質も相まってすこぶる気迫がある。聴き流せない怖さがある。アコギ弾き語りというと、一発目でピースフルで爽やかだという偏見を持たれるものだ。戦犯はゆずでも、YUIでも、miwaでも、街中のストリートミュージシャンでも良い。何れにせよあいみょんは、まず第一にそういうものに妥協せず抗っていこうというイノセントなパンクスピリットを感じる。

歌詞だ。声とメロディはあいみょんの武器だが、あいみょんを表現へと駆り立てる原動力になると同時に、最大のアイデンティティとして機能しているのはやはり歌詞である。

メジャーデビューシングル『生きていたんだよな』は、曲名からしておっかない。放り投げた語尾が乱暴な男のようだ。歌詞のストーリーはこうだ。



飛び降りて亡くなった女子高生がいる。そのニュースを消費するネット、テレビ、大人たち。女子高生に共感する自分は泣いている。やりきれない思いを抱きながら一日が暮れていく......。



正しい十代のうた。ふと浮かんだ言葉はそれだった。ヘビーな単語も並んでいるので、詳細は聴いてみてほしい。リアリズムで尚且つフィクショナルな世界観は、彼女の口紅の色のように強く濃く主張されている。この曲に結論はない。生きていたんだよなという事実とそうではなくなってしまったという事実に主体は混乱させられたままだ。それは作詞家に必要とされる真摯な姿勢である。主語を使用していないために客観性が保たれ、より冷徹でハードな批評性が宿っている。

『生きていたんだよな』には憤りがある。歌に宿るメッセージや社会性は、憤りから生まれるものなのか。と、この曲を聴いて腑に落ちた自分がいる。憤りは歳をとれば失われる。失われなければならないのだ。社会で人と繋がって生きていくためには。

だからこれは正しい十代のうただ。いつか手放さなければならない憤りだが、その本質はエネルギーだ。それを燃やすことで私たちはまた次のティーンネイジャーになにかを繋いでいく。

この曲をバトンタッチするTwitterアカウントを入力して、この曲をヘッダーで紹介しましょう。
@

written by bluemonday

https://twitter.com/bluemondayInc

旅行とビールが好きなゆとり世代

シンガーソングライタータグの関連楽曲

  • SUN

    星野 源

    オザケン?ホーンセクションを使いこなし、ロックのパッションでエンターテイメントに仕上げる塩顔の文化人。ケレン味への美学も共通点。しかし、そのキャリアは長く、芸風はあのオザケンよりも幅広いようだ。 するっと入ってくるポップスなのに、そのまますり抜けていかず残っている。ゴリゴリのベースや、隠し味のノイズ、ボトムの強いリズム、良い男声、もしかしたらアートなMVも一役買っているかもしれない。ちゃんと

  • 夢見る人

    さだまさし

    ドラマ主題歌として書き下ろしの曲。 線の細いフォーク歌手であった往年のイメージからすると、出だしから、重厚なストリングスとピアノの光沢にいささか面食らう。 AKB48の指原莉乃が自身の誕生日にディナーショーを開催して話題になった。さすがの彼女も当日はドレスアップしており、日本歌謡史のスタンダードナンバーを中心に据えたセットリストはディナーショーに相応しい、フォーマルな仕上がりだったようだ。

  • ニューゲームがはじまる

    水野智広

    幸せの絶頂にいるときに聴きたい音楽がある。悲しみのどん底にいるときに救ってくれる音楽がある。穏やかで安定した毎日だから愛聴できる音楽がある。水野智広の音楽はそのどれでもない。 ひとつキーワードを選ぶとしたら、「不安」だ。 水野智広の音楽は日常の不安を解毒する作用を持つ。どういうことだろうか。 それを明らかにするためにはまず、彼の楽曲に随所に見られるホラー要素について考えてみる必要がある。

  • ソレデモシタイ

    平井 堅

    平井堅がただ顔の濃いだけのボーカリストでないことは、きっとそれなりに知られている。純粋なる歌唱技術はもちろんのこと、味わいという意味でのボーカルワークも、サウンドメイカーとしてのバリエーションも、そしてチャーミングなユーモアも、ファン以外にも広く認知され、リスペクトを込めてあたたかくその活動が受け入れられている。 平井堅のそういった多様な側面の中でも、彼の存在感を一際輝かせている要素が、性へ

  • 恋をしたのは

    aiko

    aikoはメロディとコードが面白い。 それはよく言われていることだ。 『恋をしたのは』はコンセプチュアルなロングトーンや、イレギュラーな展開を取り入れた曲だ。一度きりの大サビのために、aikoは確信犯的に楽曲をセーブしている。遊んでいるなあと思う。曲で。とても実験的な曲だが、それをポップスとして組み立てる接着剤になっているのは、変幻自在なコード感とそれに溶け込んだメロディだ。aikoのメロ

女性ボーカルタグの関連楽曲

  • すなっちゃん・なっぽー

    BELLRING少女ハート

    キャッチーで甘いメロディ。切ないディストーションギター。 それをところどころで、破壊する楽曲構成がすごい。 なんと途中で急にジャズになってしまう。 そのジャズは、取ってつけたような感があるんだけど、取ってつけたような感こそが面白く思えるのはなぜだろう。 結局どこがサビなのかわからなかった。 舌っ足らずなユニゾンが醸し出す素人感。 最後は咳き込んで終わる。 『すなっちゃん・なっぽー

  • RE-FAURÉ

    Jessica × Mizuha Nakagawa × Prefuse73

    クラシック音楽を聴きたい人はたくさんいると思う。 いや、大人なら誰もが一度は「聴こうとした」ことがあると思う。 クラシック音楽は、格好良い。 尊敬される、良質な趣味だ。 日常生活に、クラシック音楽がある。不思議なことにただそれだけで、その日から人生が豊かになってくれそうな気がしてくる。 果たして。 そのようにしてクラシック音楽に触手を伸ばした彼らはその後どうなったか。 Y

  • STARTING NOW!

    水樹奈々

    アニソン界の覇権を握ったまま長いが、そのボーカルスタイルはアニメ声とは程遠い。当初から、声優ではなく本格的な歌手を志していた背景からして後続とは一線を画している。 『STARTING NOW!』はストイックでハードなロックサウンドがかっこいい。 水樹奈々の十八番といえるこのスタイル。無論、歌唱技術には余裕しか感じない。 ハードロック出自のヘヴィーな楽器隊とポップなボーカルの対比は、Jud

  • 恋をしたのは

    aiko

    aikoはメロディとコードが面白い。 それはよく言われていることだ。 『恋をしたのは』はコンセプチュアルなロングトーンや、イレギュラーな展開を取り入れた曲だ。一度きりの大サビのために、aikoは確信犯的に楽曲をセーブしている。遊んでいるなあと思う。曲で。とても実験的な曲だが、それをポップスとして組み立てる接着剤になっているのは、変幻自在なコード感とそれに溶け込んだメロディだ。aikoのメロ

  • 最高なしあわせ

    加藤ミリヤ

    サビの出だしが、「最高なしあわせ」ではじまる。その譜割りがとても良い。 「し」と「あ」が繋がって発音される様がとても洋楽的である。 奇抜一歩手前まで攻めるファッションからして、そんじゃそこらの可愛いだけの女とは違う、というパッションが伝わってくるだけあって、『最高のしあわせ』のようなバラードであっても、お茶の間のテレビには似合わさない大人っぽいアレンジである。 この世界には、加藤ミリ

  • しゅっとこどっこい

    バンドじゃないもん!

    鈴木美早子は侮れない。 明るく愛嬌があって、媚びないけど隙があって壁がない。 ロックバンドの紅一点として、バンドを壊さないままメンバーをモチベートし躍進させるために生まれてきたかのような女性だと思う。 その意味ではみさこは本質的にアイドルではないかもしれない。 アイドルは一般的に、媚びるけど、隙がなくて、壁があるからだ。 そのみさこがバンドじゃないもん!をはじめたとき、私はまた彼

  • カガミヨカガミ

    トライアンパサンディ

    ヘビーでポップでオルタナティヴ。曲が良い。トライアンパサンディの楽曲は粒ぞろいだ。それもそのはず、ボーカルのG-YUNcoSANDYは、GOLLBETTYとしてトイズファクトリーから若くしてメジャーデビューしている。 トライアンパサンディは、巷によくある、かわいくて格好良いバンドではないようだ。『カガミヨカガミ』での出だしのビターな歌メロのリフレイン、主張しすぎないギターリフ、声へのエフェク

フォークタグの関連楽曲

  • さよならスカイライン

    ラッキーオールドサン

    圧倒的に聴きやすいのに圧倒的に独自性に満ちている。 あなたが古き良き温かい時代に生まれずに、絶望ばかりのこんな時代に生きていることを恨んでいるのなら、 あるいは、 失われた青春時代の自分から、今の自分はどうしてここまでかけ離れてしまったのかと嘆いているのなら、 あなたが聴くべき音楽は、 あなたにとっての懐メロではなく、 ラッキーオールドサンだ。 ラッキ

  • 夢見る人

    さだまさし

    ドラマ主題歌として書き下ろしの曲。 線の細いフォーク歌手であった往年のイメージからすると、出だしから、重厚なストリングスとピアノの光沢にいささか面食らう。 AKB48の指原莉乃が自身の誕生日にディナーショーを開催して話題になった。さすがの彼女も当日はドレスアップしており、日本歌謡史のスタンダードナンバーを中心に据えたセットリストはディナーショーに相応しい、フォーマルな仕上がりだったようだ。

  • セツナ

    サニーデイ・サービス

    曽我部恵一は紛れもないミュージシャンズミュージシャンズだ。先輩後輩問わず他のバンドマンや評論家に、曽我部恵一という人間はあまりに讃えられている。愛されすぎて逆に胡散臭いくらいだ。 同業者に愛されるにはいくつか理由がある。人柄もそうだろう。しかしそれよりも鍵になるのは、同じプロであってもなかなかマネできない、マネしようとしない音楽をやっていることだ。 他のミュージシャンに出来なくて、曽我

弾き語りタグの関連楽曲

  • ニューゲームがはじまる

    水野智広

    幸せの絶頂にいるときに聴きたい音楽がある。悲しみのどん底にいるときに救ってくれる音楽がある。穏やかで安定した毎日だから愛聴できる音楽がある。水野智広の音楽はそのどれでもない。 ひとつキーワードを選ぶとしたら、「不安」だ。 水野智広の音楽は日常の不安を解毒する作用を持つ。どういうことだろうか。 それを明らかにするためにはまず、彼の楽曲に随所に見られるホラー要素について考えてみる必要がある。

line_banner
【Amazon.co.jp限定】生きていたんだよな(直筆サイン入りポストカード付き)
あいみょん
ワーナーミュージック・ジャパン (2016-11-30)
売り上げランキング: 85,753
tamago
tamago
posted with amazlet at 17.02.04
あいみょん
LASTRUM (2015-05-20)
売り上げランキング: 18,255
×
  • あいみょんの生きていたんだよながすごく中毒性ある。 by @tocchygo0813

  • あいみょん 生きていたんだよな も良いよ!!!! by @not_0823

  • あいみょん、初めて聴いた。 正直言って、人気曲「マリーゴールド」には、ピンとこなかったが、「生きていたんだよな」と「貴方解剖純愛歌~死ね~」にはシンパシーを感じた。 生と死をストレートに描いていて、 うちらとも通じるものがあると思… https://t.co/4NVkX2zlCO by @ninini_chairo

  • あいみょんの「生きていたんだよな」はみてたドラマに使われて知ったんだけどfullで聴くと凄い曲だな by @_easyR_0214

  • あいみょんの生きていたんだよなって藤井謙二が客演してるんですか。サブスクで聴いてるからクレジットが分からなくて勿体無いことしてる気がするな。 by @delatetei

  • あいみょんの生きていたんだよなをきくと毎回涙出てくる by @Splatoon2_aikos

  • “今日の1曲” あいみょん 『生きていたんだよな』 ドラマ『吉祥寺だけが 住みたい街ですか?』オープニング曲 歌詞の意味があまりに衝撃的。 こんな社会でいいのか? 私たち人間はこれでいいのか?という 問題提起という色合いが… https://t.co/5OJK012PFn by @iiyyoooooo

  • あいみょんの『生きていたんだよな』を聴いてソロ北斗くんに想いを馳せるとしよう by @chai__maru

  • @aimyonGtter あいみょんの爽やかなエロを絶賛してはりましたよ~☆ ユーミンが「ツバメのように」を書いた歳に「生きていたんだよな」を書いたあいみょん♪感無量です(;O;) by @Makun_15

  • 「今ある命を精一杯生きなさい」 なんて綺麗事だな 精一杯勇気を振り絞って 彼女は空を飛んだ あいみょんの「生きていたんだよな」のこの歌詞刺さる by @Yaoko_jii12_2