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RANDOM MUSICランダムおすすめ楽曲から音楽をみつける

  • スポーティパーティ

    ウルフルズ

    つくづくバンドはボーカルが持っていくのだなと思う。 このバンド。年季の入った本格ファンクサウンドなのに、トータス松本に華がありすぎて損してる。 リフレインする"スポーティパーティ"のバックトラックのリフを聴いて欲しい。 なんてダーティーなんだろう。 単体でも成立するほどに太く、確実に前進する立体的なドラム。 そのドラム戦車をこれまたごんぶとの手綱で後ろにひっぱってしまうベース。 そ

  • あの娘のギターはタイムマシン

    円盤少女

    円盤少女の和田純次はめっちゃ良いメロディを書く。 ただただ良いメロディを書く。 それ以上でもそれ以下でもない。良いメロディを書く。 これ。きっとまだ世の中のほとんどの人は知らないと思うんだけど、私は声を大にして言いたい。この人の書くメロディは良い。 明るく切ない、日本の歌謡曲の正道を行く美しいメロディだ。 とてもベタで王道だ。 でも決して安易ではない。 あーあ。ってなりそ

  • 8 BEATのシルエット

    布袋寅泰

    ロンドンでの数年間を経て、原点に戻ったかのようなオリエンタルなパワーポップ。きっかり8分音符のギラついた単音リフから始まり、ミュート、カッティング、歪んだオブリガードを駆使し、ソウルなコーラスで徐々に高まっていき、歌謡メロディのサビで開放。自由気ままにやった結果このポップな形になっているようであることが、なにより健康的でうらやましい。ギターソロではテンポチェンジなど一工夫凝らしているが、それもまた

RANDOM REVIEWランダムレビューから音楽をみつける

  • つくづくバンドはボーカルが持っていくのだなと思う。
    このバンド。年季の入った本格ファンクサウンドなのに、トータス松本に華がありすぎて損してる。

    リフレインする"スポーティパーティ"のバックトラックのリフを聴いて欲しい。
    なんてダーティーなんだろう。
    単体でも成立するほどに太く、確実に前進する立体的なドラム。
    そのドラム戦車をこれまたごんぶとの手綱で後ろにひっぱってしまうベース。
    その両方に火炎放射を浴びせて焚き付けるようにのたうち回るギター。

    バックトラックだけを聴けば、ビジュアルイメージさえも、ウルフルズのパブリックイメージとは違う、ダーティーで硬派なルックスが浮かび上がってくるはずだ。

    バンドにとって、ボーカルが花だとすれば、楽器隊はさしずめ花瓶である。仮に花を取り外して、花瓶としての美しさ、かっこよさ、丈夫さを評価してみれば、世のバンド界隈には、いまと全く違った素敵な世界が広がっているかもしれない。ウルフルケイスケ、ジョン・B、サンコンJr.がつくる模様のないタイトな花瓶は、そんな可能性を妄想させてくれる。

    さて、そんな最高の花瓶に生けられているにも関わらず、すべてを持っていってしまうトータス松本には何があるのか。

    ひとつ提案したいのは、ボーカリスト俳優説だ。
    古今東西、ロックバンドのボーカリストが、一定のキャリアを積んだ上で俳優業を掛け持つ例が後を絶たない。トータス松本も然り。無論、楽器隊より人気が出やすいこと、ソングライターであれば俳優業にも通じるクリエイティビティを潜在する場合が多いことなどの条件もあるが、そもそもボーカルとは喋るパフォーマーであることを忘れてはならない。つまるところ、技術的にボーカルと俳優は近似しているのだ。

    トータス松本は、喋るパフォーマーとしての俳優力が高い。
    演劇の世界では、小道具大道具を用意せず、あえて喋りのみで情景描写や世界観を表現するスタイルが一般的に存在する。それは演技の持つ可能性を最大限に楽しめる、まさに演劇の真骨頂だ。その空間では、言葉とアクションだけで場のすべてを持っていく使命が俳優に課されている。

    ある種のボーカリストの持つ驚異的な空間掌握力はその使命の達成に近い。
    声が良い。顔が派手。しなやかな身体。個別の要素を挙げればいくらでも褒められる。しかし、俳優が観客に情景を見せるために注ぎ込まれるエネルギーは、決して個別の要素の能力値では測れない。
    文字通り前身をフルに駆使する。セリフのピッチは勿論のこと、瞬きひとつ繊細に研ぎ澄まされた、総合芸術だ。

    ボーカリストは総合芸術である。そしてトータス松本は歌のうまい花ではなく、最高の花瓶に刺さった最高の俳優だ。"スポーティパーティ"のリフレインと対になるBメロの、アドリブのように不定形で切迫したボーカルワークを聴けばその怪演に胸を打たれずにはいられない。
    『最高の花瓶とボーカリスト俳優説』 を詳しく ≫
  • 円盤少女の和田純次はめっちゃ良いメロディを書く。
    ただただ良いメロディを書く。
    それ以上でもそれ以下でもない。良いメロディを書く。

    これ。きっとまだ世の中のほとんどの人は知らないと思うんだけど、私は声を大にして言いたい。この人の書くメロディは良い。


    明るく切ない、日本の歌謡曲の正道を行く美しいメロディだ。
    とてもベタで王道だ。
    でも決して安易ではない。
    あーあ。ってなりそうなギリギリのところで、メロディが逆方向に折れ曲がって、オッて思わせてくれる。ギリギリのところでコード進行にもうワンチャンスある。

    新しいメロディはもう生まれないと、もう何年も前から言われている。
    事実、最先端と呼ばれるアーティストたちは、歌ものなんてとっくに諦めている。

    和田純次のメロディは新しくないかもしれない。
    でも、あーあ。ってなっちゃう安易なメロディじゃない。
    古典的な歌謡曲が永久欠番にしてしまったズルいメロディたちを、ギリギリのところで使いこなしている。
    こんなことできるソングライター、いまほとんどいないと思う。織田哲郎とかそういうレベルだと思う。
    これはけっこう真面目に思っているんだけど。


    和田純次はメロディメイクの際の綱渡り的なベクトルを、歌詞でも志向している。歌詞も良いと思う。ベタで甘く青い世界観だけど、こっ恥ずかしくない。言葉も自分の言葉だ。歌の題材も彼の世界から出てきている。聴けば分かる。上手いと思う。ああ素敵だなと思う。

    サウンドはシンプルだ。
    いじわるに言えば、意外性はない。
    しかし、メロディと歌詞の良さがビンビンに響いてくる潔いバンドサウンドだ。
    ギターのリフやオブリガードも、ポップスに相応しいメロディを鳴らしていると思う。

    『あの娘のギターはタイムマシン』は彼らの中でも特に完成度の高い曲だ。完璧だと思う。大好きだ。美しいメロディだなと思う。中学生のとき、はじめてのCDを買う前に『小さな恋のうた』を口ずさんでいたように、『あの娘のギターはタイムマシン』を口ずさんでいる自分がいる。


    日本のロックは案外悪くない歴史を歩んできたのかもしれない。
    円盤少女を聴いてそう思った。
    こんな何の変哲もないバンドサウンドと歌心のあるメロディだけで、それでもグッと来てしまう。私もいろんな音楽を聴いてきた気がするんだけど、いろんな理屈を知ってきた気がするんだけど、理屈じゃないんだなあと思う。


    しかし、私もこれを書いていて思うが、円盤少女と和田純次の良さを言葉にするのは随分とむずかしい。理屈による証明に持っていけない。だから私は円盤少女の良さを伝える、誰もが納得してくれる文章を完成させることを諦めた。だからこんな取り留めのない文章を書いている。大したことは何も書けてはいないけど、ここで一発何かしら書いておかないと、自分自身の耳に不誠実な気がしたから。円盤少女に不誠実なんじゃない、自分にとっての不誠実。まじで良いと思ったんだぜ。

    私は円盤少女の追っかけにはならないだろう。今だって、ファンだなんて自信持てるほど聴き込んではいないのかもしれない。でも今後、彼らによってもっと良い曲が書かれるだろうと私は普通に思っている。それを自分は聴くだろうなと思う。
    『歌謡曲が永久欠番にしたメロディ』 を詳しく ≫
  • ロンドンでの数年間を経て、原点に戻ったかのようなオリエンタルなパワーポップ。きっかり8分音符のギラついた単音リフから始まり、ミュート、カッティング、歪んだオブリガードを駆使し、ソウルなコーラスで徐々に高まっていき、歌謡メロディのサビで開放。自由気ままにやった結果このポップな形になっているようであることが、なにより健康的でうらやましい。ギターソロではテンポチェンジなど一工夫凝らしているが、それもまた地味で良い。

    布袋寅泰は意外といろんなギターが弾ける。彼が単なるカッティング野郎だと思っているのは、教養としてBOØWYを知っているそこそこの音楽ファンだろう。それ以前の段階になると長身強面にドレッシーな衣装のせいか、上手いけど弾きすぎるタイプのピロピロ系ギタリストだと思われている節もある。ともに的確な認識ではない。布袋にもスタイルはあるが、彼は比較的変幻自在なカメレオンタイプのギタリストだと思う。

    布袋寅泰はブルースも弾けるし、ジャズも弾ける。ソウルもファンクも弾けて、創れる。楽曲を聴けば一目瞭然だが、「Stranger」で結実した多様なボーカリストとのコラボレーションがなによりもそれを物語っている。ボーカリストが多様なギタリストとコラボレーションするよりも、ギタリストが多様なボーカリストとコラボレーションするほうが難しい。

    アルバム制作やコンサートに取り組む姿勢も、常にコンセプチュアルで理知的。理詰めができるタイプのギタリストだから、自身の型にも自覚的で、その拡張にも意欲的。一度妄想してみたいのが布袋寅泰が氷室京介と出逢っていなかったらどうなっていたか、だ。

    私は、全く異なった音楽をやっていた可能性も十分ありえたと思っている。BOØWY楽曲では明示的に編曲家としての布袋がクレジットされている。そこから読み取れるのは、その初期からクリエイターとしての立ち位置を意識している姿勢だ。BOØWYの楽曲を布袋がプロデュースする。布袋色に染め上げると言うと独善的だが、テイストとしてはBOØWYの良さを引き出し、氷室の良さを引き出す側に回っていたと考えるほうが適切だ。

    ソロではライブ毎にガリガリ編曲を変える。編成も変える。パーカス部隊やデジタル部隊と組み豪華に風呂敷を広げたと思ったら、翌年にはガッと絞ってトリオでライブハウスに突入し、男くさいパフォーマンスを繰り広げる。

    布袋寅泰がキャリアの初期において氷室ではない別の誰かの良さを引き出し、結果、布袋自身がいまとは異なったギタリスト像を引き出された。そんな未来に強いリアリティがあるのが布袋寅泰というギタリストの特異性だ。

    さて、ロンドンではどうなるか。布袋寅泰はとにかく頭が良いと感じる。彼は海外で日本の音楽に求められるのがオリエンタリズムであることも冷静に指摘している。その需要に向き合うことは、ときとして媚や妥協に陥りがちだが、布袋は振り切れず突っぱねず冷静に着地点を探っている。英語で歌うのか、日本語で歌うのか。そもそも歌わないのか。世界のトレンドを追うのか。自身のルーツに忠実に従うのか。日本人と組むのかイギリス人と組むのか。ひとつひとつ考えて、言葉の壁もしれっと乗り越えて健康的に理想を追求している。ギターは十分。その音楽家の人生は前進している。ひょっとするとひょっとするかもしれない。
    『理知的なカメレオンギタリスト』 を詳しく ≫

NEW MUSIC最新のおすすめ楽曲から音楽をみつける

  • あの娘のギターはタイムマシン

    円盤少女

    円盤少女の和田純次はめっちゃ良いメロディを書く。 ただただ良いメロディを書く。 それ以上でもそれ以下でもない。良いメロディを書く。 これ。きっとまだ世の中のほとんどの人は知らないと思うんだけど、私は声を大にして言いたい。この人の書くメロディは良い。 明るく切ない、日本の歌謡曲の正道を行く美しいメロディだ。 とてもベタで王道だ。 でも決して安易ではない。 あーあ。ってなりそ

  • スポーティパーティ

    ウルフルズ

    つくづくバンドはボーカルが持っていくのだなと思う。 このバンド。年季の入った本格ファンクサウンドなのに、トータス松本に華がありすぎて損してる。 リフレインする"スポーティパーティ"のバックトラックのリフを聴いて欲しい。 なんてダーティーなんだろう。 単体でも成立するほどに太く、確実に前進する立体的なドラム。 そのドラム戦車をこれまたごんぶとの手綱で後ろにひっぱってしまうベース。 そ

  • 8 BEATのシルエット

    布袋寅泰

    ロンドンでの数年間を経て、原点に戻ったかのようなオリエンタルなパワーポップ。きっかり8分音符のギラついた単音リフから始まり、ミュート、カッティング、歪んだオブリガードを駆使し、ソウルなコーラスで徐々に高まっていき、歌謡メロディのサビで開放。自由気ままにやった結果このポップな形になっているようであることが、なにより健康的でうらやましい。ギターソロではテンポチェンジなど一工夫凝らしているが、それもまた

NEW REVIEW最新レビューから音楽をみつける

  • 円盤少女の和田純次はめっちゃ良いメロディを書く。
    ただただ良いメロディを書く。
    それ以上でもそれ以下でもない。良いメロディを書く。

    これ。きっとまだ世の中のほとんどの人は知らないと思うんだけど、私は声を大にして言いたい。この人の書くメロディは良い。


    明るく切ない、日本の歌謡曲の正道を行く美しいメロディだ。
    とてもベタで王道だ。
    でも決して安易ではない。
    あーあ。ってなりそうなギリギリのところで、メロディが逆方向に折れ曲がって、オッて思わせてくれる。ギリギリのところでコード進行にもうワンチャンスある。

    新しいメロディはもう生まれないと、もう何年も前から言われている。
    事実、最先端と呼ばれるアーティストたちは、歌ものなんてとっくに諦めている。

    和田純次のメロディは新しくないかもしれない。
    でも、あーあ。ってなっちゃう安易なメロディじゃない。
    古典的な歌謡曲が永久欠番にしてしまったズルいメロディたちを、ギリギリのところで使いこなしている。
    こんなことできるソングライター、いまほとんどいないと思う。織田哲郎とかそういうレベルだと思う。
    これはけっこう真面目に思っているんだけど。


    和田純次はメロディメイクの際の綱渡り的なベクトルを、歌詞でも志向している。歌詞も良いと思う。ベタで甘く青い世界観だけど、こっ恥ずかしくない。言葉も自分の言葉だ。歌の題材も彼の世界から出てきている。聴けば分かる。上手いと思う。ああ素敵だなと思う。

    サウンドはシンプルだ。
    いじわるに言えば、意外性はない。
    しかし、メロディと歌詞の良さがビンビンに響いてくる潔いバンドサウンドだ。
    ギターのリフやオブリガードも、ポップスに相応しいメロディを鳴らしていると思う。

    『あの娘のギターはタイムマシン』は彼らの中でも特に完成度の高い曲だ。完璧だと思う。大好きだ。美しいメロディだなと思う。中学生のとき、はじめてのCDを買う前に『小さな恋のうた』を口ずさんでいたように、『あの娘のギターはタイムマシン』を口ずさんでいる自分がいる。


    日本のロックは案外悪くない歴史を歩んできたのかもしれない。
    円盤少女を聴いてそう思った。
    こんな何の変哲もないバンドサウンドと歌心のあるメロディだけで、それでもグッと来てしまう。私もいろんな音楽を聴いてきた気がするんだけど、いろんな理屈を知ってきた気がするんだけど、理屈じゃないんだなあと思う。


    しかし、私もこれを書いていて思うが、円盤少女と和田純次の良さを言葉にするのは随分とむずかしい。理屈による証明に持っていけない。だから私は円盤少女の良さを伝える、誰もが納得してくれる文章を完成させることを諦めた。だからこんな取り留めのない文章を書いている。大したことは何も書けてはいないけど、ここで一発何かしら書いておかないと、自分自身の耳に不誠実な気がしたから。円盤少女に不誠実なんじゃない、自分にとっての不誠実。まじで良いと思ったんだぜ。

    私は円盤少女の追っかけにはならないだろう。今だって、ファンだなんて自信持てるほど聴き込んではいないのかもしれない。でも今後、彼らによってもっと良い曲が書かれるだろうと私は普通に思っている。それを自分は聴くだろうなと思う。
    『歌謡曲が永久欠番にしたメロディ』 を詳しく ≫
  • つくづくバンドはボーカルが持っていくのだなと思う。
    このバンド。年季の入った本格ファンクサウンドなのに、トータス松本に華がありすぎて損してる。

    リフレインする"スポーティパーティ"のバックトラックのリフを聴いて欲しい。
    なんてダーティーなんだろう。
    単体でも成立するほどに太く、確実に前進する立体的なドラム。
    そのドラム戦車をこれまたごんぶとの手綱で後ろにひっぱってしまうベース。
    その両方に火炎放射を浴びせて焚き付けるようにのたうち回るギター。

    バックトラックだけを聴けば、ビジュアルイメージさえも、ウルフルズのパブリックイメージとは違う、ダーティーで硬派なルックスが浮かび上がってくるはずだ。

    バンドにとって、ボーカルが花だとすれば、楽器隊はさしずめ花瓶である。仮に花を取り外して、花瓶としての美しさ、かっこよさ、丈夫さを評価してみれば、世のバンド界隈には、いまと全く違った素敵な世界が広がっているかもしれない。ウルフルケイスケ、ジョン・B、サンコンJr.がつくる模様のないタイトな花瓶は、そんな可能性を妄想させてくれる。

    さて、そんな最高の花瓶に生けられているにも関わらず、すべてを持っていってしまうトータス松本には何があるのか。

    ひとつ提案したいのは、ボーカリスト俳優説だ。
    古今東西、ロックバンドのボーカリストが、一定のキャリアを積んだ上で俳優業を掛け持つ例が後を絶たない。トータス松本も然り。無論、楽器隊より人気が出やすいこと、ソングライターであれば俳優業にも通じるクリエイティビティを潜在する場合が多いことなどの条件もあるが、そもそもボーカルとは喋るパフォーマーであることを忘れてはならない。つまるところ、技術的にボーカルと俳優は近似しているのだ。

    トータス松本は、喋るパフォーマーとしての俳優力が高い。
    演劇の世界では、小道具大道具を用意せず、あえて喋りのみで情景描写や世界観を表現するスタイルが一般的に存在する。それは演技の持つ可能性を最大限に楽しめる、まさに演劇の真骨頂だ。その空間では、言葉とアクションだけで場のすべてを持っていく使命が俳優に課されている。

    ある種のボーカリストの持つ驚異的な空間掌握力はその使命の達成に近い。
    声が良い。顔が派手。しなやかな身体。個別の要素を挙げればいくらでも褒められる。しかし、俳優が観客に情景を見せるために注ぎ込まれるエネルギーは、決して個別の要素の能力値では測れない。
    文字通り前身をフルに駆使する。セリフのピッチは勿論のこと、瞬きひとつ繊細に研ぎ澄まされた、総合芸術だ。

    ボーカリストは総合芸術である。そしてトータス松本は歌のうまい花ではなく、最高の花瓶に刺さった最高の俳優だ。"スポーティパーティ"のリフレインと対になるBメロの、アドリブのように不定形で切迫したボーカルワークを聴けばその怪演に胸を打たれずにはいられない。
    『最高の花瓶とボーカリスト俳優説』 を詳しく ≫
  • ロンドンでの数年間を経て、原点に戻ったかのようなオリエンタルなパワーポップ。きっかり8分音符のギラついた単音リフから始まり、ミュート、カッティング、歪んだオブリガードを駆使し、ソウルなコーラスで徐々に高まっていき、歌謡メロディのサビで開放。自由気ままにやった結果このポップな形になっているようであることが、なにより健康的でうらやましい。ギターソロではテンポチェンジなど一工夫凝らしているが、それもまた地味で良い。

    布袋寅泰は意外といろんなギターが弾ける。彼が単なるカッティング野郎だと思っているのは、教養としてBOØWYを知っているそこそこの音楽ファンだろう。それ以前の段階になると長身強面にドレッシーな衣装のせいか、上手いけど弾きすぎるタイプのピロピロ系ギタリストだと思われている節もある。ともに的確な認識ではない。布袋にもスタイルはあるが、彼は比較的変幻自在なカメレオンタイプのギタリストだと思う。

    布袋寅泰はブルースも弾けるし、ジャズも弾ける。ソウルもファンクも弾けて、創れる。楽曲を聴けば一目瞭然だが、「Stranger」で結実した多様なボーカリストとのコラボレーションがなによりもそれを物語っている。ボーカリストが多様なギタリストとコラボレーションするよりも、ギタリストが多様なボーカリストとコラボレーションするほうが難しい。

    アルバム制作やコンサートに取り組む姿勢も、常にコンセプチュアルで理知的。理詰めができるタイプのギタリストだから、自身の型にも自覚的で、その拡張にも意欲的。一度妄想してみたいのが布袋寅泰が氷室京介と出逢っていなかったらどうなっていたか、だ。

    私は、全く異なった音楽をやっていた可能性も十分ありえたと思っている。BOØWY楽曲では明示的に編曲家としての布袋がクレジットされている。そこから読み取れるのは、その初期からクリエイターとしての立ち位置を意識している姿勢だ。BOØWYの楽曲を布袋がプロデュースする。布袋色に染め上げると言うと独善的だが、テイストとしてはBOØWYの良さを引き出し、氷室の良さを引き出す側に回っていたと考えるほうが適切だ。

    ソロではライブ毎にガリガリ編曲を変える。編成も変える。パーカス部隊やデジタル部隊と組み豪華に風呂敷を広げたと思ったら、翌年にはガッと絞ってトリオでライブハウスに突入し、男くさいパフォーマンスを繰り広げる。

    布袋寅泰がキャリアの初期において氷室ではない別の誰かの良さを引き出し、結果、布袋自身がいまとは異なったギタリスト像を引き出された。そんな未来に強いリアリティがあるのが布袋寅泰というギタリストの特異性だ。

    さて、ロンドンではどうなるか。布袋寅泰はとにかく頭が良いと感じる。彼は海外で日本の音楽に求められるのがオリエンタリズムであることも冷静に指摘している。その需要に向き合うことは、ときとして媚や妥協に陥りがちだが、布袋は振り切れず突っぱねず冷静に着地点を探っている。英語で歌うのか、日本語で歌うのか。そもそも歌わないのか。世界のトレンドを追うのか。自身のルーツに忠実に従うのか。日本人と組むのかイギリス人と組むのか。ひとつひとつ考えて、言葉の壁もしれっと乗り越えて健康的に理想を追求している。ギターは十分。その音楽家の人生は前進している。ひょっとするとひょっとするかもしれない。
    『理知的なカメレオンギタリスト』 を詳しく ≫
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  • RT @gotch_akg: 日本に戻ったら、ドカンと8時間くらい寝たい。ずっと細切れの睡眠だから。そういうなかでも夢は見るもんで、トム・クルーズのアンビエントノイズバンドにギタリストとして参加して、偶発的なノイズを「それがいいからもう一回やれ」と無茶振りされまくって、困り果て… by @ZeroBeat_BOT