ZeroBeat自分でみつける音楽のためのWEBメディア

ギターロックという本能

IceCandy、良いギターロックである。

突風のように蒼い轟音と疾走感。歌詞の断片のブライトな響き。
歪んだシングルコイル、ディレイ。気持ち良い。

ときは2000年代前半。
私たち日本生まれのゆとり第一世代は思春期に差し掛かり、ある遺伝子変革に遭遇したのだと思う。
ギターロックという本能の誕生である。

禁断の果実はBUMP OF CHICKENだったのだろうか。
あるいはMr.Childrenからすべては始まっていたのだろうか。


上記バンドを熱心に聴いていたか否かは実は重要ではない。iPodに入れてなくたって、空気感染のように、私たちの細胞に疾走ギターロックは刻まれていた。


養分たっぷりの大地に育った。
そんな印象だ。
満たされた僕たちの欠落、なんてのは安易すぎるモチーフではあるけれど、カフカの音楽にはそうした豊穣さにもとづいた説得力と感情の揺れがある。


サウンドだけではない。
ノーベル文学賞をボブ・ディランが受賞した件はまた別の話だが、邦楽ギターロックというジャンルには、よりざっくりしたイメージとしての文学の幻影がつきまとう。バンド名からして、カフカもその土壌に咲いている。そのルーツを厳密に辿るには別の機会を設けるとして、カネココウタが言葉やMVやその他このバンドを表象するあらゆるイメージで、組み上げたい世界観も真にこの邦楽ギターロック文学と言うべき系譜を受け継いでいる。


4つ打ちビートでフェスシーンを盛り上げるバンドたちが歩む道と比較するとカフカのそれは、より正道であり、オールディーだ。

その差異はもしかしたら重要かもしれない。
というのも、そのアイデンティティに、きっと双方があまり意識的でないのが今のバンドシーンだからだ。
それを強く意識したとき、初めて母体となるシーンの再検証と、バンドの次の闘いが始まる。

( Written Nov 19, 2016 )

この曲をバトンタッチするTwitterアカウントを入力して、この曲をヘッダーで紹介しましょう。
@

Written by 管理人

https://twitter.com/ZeroBeat_BOT

管理人。旅とビールが好きなゆとり世代

邦楽ロックタグの関連楽曲

  • Good New Times

    Gotch

    バンドマンのソロを聴くのは好きだ。 その人が、バンドとソロ、公と私をどのように分断するのか。 その境目をどの地点に置くか。音なのか、歌詞なのか。仕事と趣味なのか。 一番好きなジャンルと、二番目に好きなジャンルなのか。 それまでのバンド作品では、プライベートな音楽を鳴らしていたのか。 そうではなかったのか。 ソロ作品をリリースするとたくさんのことが見えてくる。 『Good

  • めぐり逢えたら

    おとぎ話

    古い家具のようなギターの音色でドリーミーなアルペジオを組み立てる。 最後まで厚くならない音像に、盛り上がりに欠ける空虚なメロディが滑っていく。 独特な音楽は多々あれど、その独特さのベクトルにおいて有識者が認知できないような角度で『めぐり逢えたら』を繰り出すおとぎ話は、損極まりない。 新しいジャンルとの融合や、時代のアーキテクチャの有効活用は本当のところオリジナルでもなんでもない。進んでいる時

  • Summer Soul

    cero

    上質だ。これぞ真の音楽好きが真の音楽好きに自信をもってレコメンドできる最高に上質でソフィスティケートされたジャンル越境ポップロックミュージックだ。 ベースが良い。 超聴こえる。 ベースを聴かせるバンドは大抵良いバンドだ。 ドラムが良い。 タムで刻み、金物をキーボードのように聴かせるバンドは大抵良いバンドだ。 テクニカルなのに、編曲に嫌味がない。 こういうのをズルいと言う。

  • Swan

    [Alexandros]

    なんでこんなに顔がかっこいいのか、という疑問に対して誰も何も答えてくれないバンドナンバーワン。 曲もかっこいい。電子ビートとフェイザー?感のある揺らしたボーカルによる淡々とした始まりからして、新参者のパブリックイメージの外側から攻めてくる。この感触はどこから引っ張ってきたアイデアなのか。ボーカルの録音とミックスが良いだけなのか。 ドラマティックなサビで泣かせるまでに至らず、すぐAメロに

  • ハイエース

    フラワーカンパニーズ

    フラカンといえば『深夜高速』。言葉の響きも格好良いし、夢、青春、音楽、自分のやりたいことを追求し、 "いやらしさも汚らしさも むきだしにして走っていく(ブルーハーツ)" ことの決意・道程を描いた歌詞は、青春の渦中にいる若者にも青春を終えた中年にも刺さる普遍性を持っている。日本のロックのスタンダード・ナンバーに数えられる名曲だと思う。 私が『深夜高速』を知ったのは10年以上前だった

  • ハッピーエンド

    back number

    Mr.Children、コブクロ。 わかる。わかるよ、清水依与吏。 back numberが先達から非常に強い影響を受けているのがわかる。 いや、影響という言い方は間違っているかもしれない。 それは、遺伝に近い。 ハッピーエンドは、ドラマティックなバラードである。 他のback numberのバラードと同じように。 日本人好みのメロディライン、切ない恋心の歌詞。 ストリング

  • 人間ビデオ

    ドレスコーズ

    偉大なバンドは磁場をつくる。 多くのリスナーを惹きつけるためだけの磁場ではない。簡単に言えば、フォロワーを生むということだ。 多くの場合、フォロワーバンドというやつは幾つかの類型に分けることができる。 最も一般的なのが、単なるマネだ。そこにオトナのマーケティングがある。この感じがウケる。ロジカルシンキングに長けた企業人は、スピーディーにトレンドをキャッチし、商品に反映させることができる。

ギターロックタグの関連楽曲

  • Good New Times

    Gotch

    バンドマンのソロを聴くのは好きだ。 その人が、バンドとソロ、公と私をどのように分断するのか。 その境目をどの地点に置くか。音なのか、歌詞なのか。仕事と趣味なのか。 一番好きなジャンルと、二番目に好きなジャンルなのか。 それまでのバンド作品では、プライベートな音楽を鳴らしていたのか。 そうではなかったのか。 ソロ作品をリリースするとたくさんのことが見えてくる。 『Good

  • ランアンドラン

    KANA-BOON

    若手正統派ロックバンドの大本命としてここ数年認知されているが、その原型は言われるほど「正統派」では無かった気がする。百歩譲ってイケメンでないことは置いておくとしても、谷口鮪の声には独特のねちっこさがあったし、楽曲もポップではあるが日本人好みの泣きメロは比較的少なかった。古賀隼斗のギターはまあまあ主張が強かったし。2013年のサマソニを見た時点で、ロックバンドらしさは抜群だったが、大衆の心を掴むなら

  • Fall

    told

    「最近の若手には骨のあるやるがいないんです」 「あんたは春になるといつもそう言うな。新入りってのはな、朝顔みたいなものなんだよ」 「アサガオ?」 「ああ。アサガオだ。芽が出るまではとにかく水をやることだけ考えていれば良い。支柱をたててこっちが望む方向にツルを巻いてもらうのはそのあとの話だ」 「なるほど。おやじさんの言うことはやはり含蓄が違う」 「お代はまけないよ」 「わかってますって。

インディーロックタグの関連楽曲

  • あの娘のギターはタイムマシン

    円盤少女

    円盤少女の和田純次はめっちゃ良いメロディを書く。 ただただ良いメロディを書く。 それ以上でもそれ以下でもない。良いメロディを書く。 これ。きっとまだ世の中のほとんどの人は知らないと思うんだけど、私は声を大にして言いたい。この人の書くメロディは良い。 明るく切ない、日本の歌謡曲の正道を行く美しいメロディだ。 とてもベタで王道だ。 でも決して安易ではない。 あーあ。ってなりそ

  • ANOTHER STARTING LINE

    Hi-STANDARD

    メロコアと言われる音楽が持つポップ感ってわりと様式美的なものがあって、どんなにメロディックであろうと刺さらない人には全く刺さらなかったりする。かく言う私も、メロコアを聴くときは、「あーメロコアのメロコア感気持ち良いー」的なチャネルが活性化されている状態に無意識に合わせているもので、言うなればそれは一種の敷居だったりする。 『ANOTHER STARTING LINE』がスゴく良かったのは、メ

  • カガミヨカガミ

    トライアンパサンディ

    ヘビーでポップでオルタナティヴ。曲が良い。トライアンパサンディの楽曲は粒ぞろいだ。それもそのはず、ボーカルのG-YUNcoSANDYは、GOLLBETTYとしてトイズファクトリーから若くしてメジャーデビューしている。 トライアンパサンディは、巷によくある、かわいくて格好良いバンドではないようだ。『カガミヨカガミ』での出だしのビターな歌メロのリフレイン、主張しすぎないギターリフ、声へのエフェク

  • Ride My Car

    The ManRay

    ロックバンドがロックしかしない。それって結構珍しい。 The ManRayはそんなバンドだ。 だから安心して聴ける。 メロウにもオシャレにもギャグにもヤケクソにもならず、ひたすらロックが聴ける。 それはとても幸せで、とても稀有なことだったのだとThe ManRayを聴いて思った。 良い意味で、楽曲に楽器が奉仕していない。 ベースとドラムとギターが独立した距離感で立ち回り、そのための

  • 恐怖の大王

    人間椅子

    「日本語ロック」という言葉がある。 はっぴいえんどが開拓を進め、サザンオールスターズ、RCサクセション、ブルーハーツが各々の方法論で完成させたソレだ。 その言葉はいまでは廃れ、代わりに若い音楽ファンに親しまれているのは「邦楽ロック」だ。 日本でロックをやること。かつては、それ自体が事件であり挑戦だった。 いまはどうか。幸福なことに日本でロックは可能であることが証明されたと思う。それ

  • 自意識不明

    nervous light of sunday

    カオティックという言葉がある。 その言葉の選ばれ方において、カオティックと、カオスは全く別物である。 カオスは字義通り混沌の意味。 ジャンルレスであったり、特にそれが無秩序な印象につながっていたりすると人は、カオスな曲だ、と表現する。 他方、カオティックはむしろ秩序だ。 具体的には、スクリーモ、あるいはスクリーモ系のエモ、ハードコア、メタルコア、ミクスチャーロックなどを主戦場とするバ

  • ラバーソウル

    GRAND FAMILY ORCHESTRA

    太っちょのドラマーがいるバンドってもうそれだけで雰囲気良いよね。 太っちょのキャッチャーがいる野球部みたいなもんでさ。 ダンサンブルでアッパーな流行りのロックかと思いきや、スパイスのような哀愁が良い曲。 コーラスはどこかヨーロピアンでレトロ。あえて、ミクスチャーロックのタグをつけさせてもらった。 構成は意外とシンプルかつ挑戦的。『リンダリンダ』の如きロンド形式。冒頭のリフレイン

line_banner
あいなきせかい
あいなきせかい
posted with amazlet at 16.11.19
カフカ
DAIZAWA RECORDS/UK.PROJECT (2016-09-07)
売り上げランキング: 5,928
Tokyo 9 Stories
Tokyo 9 Stories
posted with amazlet at 16.11.19
カフカ
UK.PROJECT (2015-09-09)
売り上げランキング: 41,562
×
  • カフカ - Ice Candy(MV) https://t.co/rOTzzhzQbt via @YouTube ちょうどよく薄くて軽くてカッコいい by @sho_soku