ZeroBeat自分でみつける音楽のためのWEBメディア

猫とアレルギーきのこ帝国

猫とテレキャスと邦楽ロックの成熟

猫である。そしてきのこである。テレキャスである。
ある種の人間はそれだけで何かに気づく。
あ、これ好きなヤツだ。と。

中堅監督が駆け出しの頃、地味な俳優陣と低予算なロケでとったモノローグの多い邦画。
きのこ帝国の持つ叙情性と、それへの親近感を言葉にするとき私はそれを思い浮かべた。
『猫とアレルギー』は、理性的でしっとりとしたロックバラードだ。

Aメロからいい具合に抑揚がきいたメロディが続く。
コロコロとしたエレピと、スカスカ故に相対的に浮き出てくるベースライン。
白玉ギターと乾いたドラム。クールなボーカル。彩るのはカラフルというよりはクリアーなストリングス。

歌詞は大事。
影のある美女が書く切ないラブソングは、間違いなくきのこ帝国の最大の強みだ。
"話せなくていい 会えなくてもいい"
テレキャス美女が恋の喜びを歌っていたらまた話は違っていたと思う。
オルタナやシューゲイズ寄りのストイックなポジションを確立しているが、
テイストとしては、奥華子やAiko、あるいはサンボマスターのような報われなさへの憧憬と世界観が、その広範な人気に大きく寄与していると思う。

アウトロのギターソロで骨のあるところを見せる。『東京』ライクだ。
それでも可憐ではある。その点、良きも悪きも田渕ひさ子とは違う。

きのこ帝国のようなバンドがスマートにシェアを獲得しているところに、時代の変化、邦楽ロックというやつの成熟を感じる。ついてくるファンに恵まれていると思う。

インディーズ時代からの変化を嘆くファンもいるようだ。
しかし、個人的にはそう変わっていないと思う。
オルタナティブな音使いは、彼らにとって本質ではなくて、むしろ外殻だっただろう。
シーンでけちょんけちょんにされないための。

あとで知ったことだが、ボーカル&ギターの佐藤千亜妃は女優だったらしい。
低予算な邦画を想起させる佇まいは、印象としてはそう間違ってもいなかったようだ。
( Written Nov 20, 2016 )

この曲をバトンタッチするTwitterアカウントを入力して、この曲をヘッダーで紹介しましょう。
@

Written by 管理人

https://twitter.com/ZeroBeat_BOT

管理人。旅とビールが好きなゆとり世代

邦楽ロックタグの関連楽曲

  • BLINKSTONEの真実を

    BIGMAMA

    金井政人は非常にモチベーションの高い人間である。そして理想の高い人間である。 無理もない。この人は持てる者だ。 まず普通に顔が格好良い。 そして学がある。ポイントは最終学歴ではなく、付属高校から中央大学に進学していることだ。東京出身。私立の高校に進学できるだけの経済的余裕と、文化資本を備えた、いわゆる中流家庭の出身であると推察できる。 BIGMAMAの優美でクラシカルな世界観は

  • 恋人ができたんだ

    My Hair is Bad

    若々しい。イマドキの若者感、イマドキの恋愛感をどストレートに感じ取れる曲だ。 大衆文化は世相を反映する。とくに音楽はそうだ。 では、どんな大衆音楽が、世相を感じ取るのに向いている音楽なのだろうか。 メッセージ性のある社会派ロックだろうか。海外の最先端を捉えたヒップホップだろうか。インテリジェンスのあるシティポップだろうか。DIYなインディーパンクだろうか。 私は、若者が書いたラブソ

  • ハッピーエンド

    back number

    Mr.Children、コブクロ。 わかる。わかるよ、清水依与吏。 back numberが先達から非常に強い影響を受けているのがわかる。 いや、影響という言い方は間違っているかもしれない。 それは、遺伝に近い。 ハッピーエンドは、ドラマティックなバラードである。 他のback numberのバラードと同じように。 日本人好みのメロディライン、切ない恋心の歌詞。 ストリング

  • ハイエース

    フラワーカンパニーズ

    フラカンといえば『深夜高速』。言葉の響きも格好良いし、夢、青春、音楽、自分のやりたいことを追求し、 "いやらしさも汚らしさも むきだしにして走っていく(ブルーハーツ)" ことの決意・道程を描いた歌詞は、青春の渦中にいる若者にも青春を終えた中年にも刺さる普遍性を持っている。日本のロックのスタンダード・ナンバーに数えられる名曲だと思う。 私が『深夜高速』を知ったのは10年以上前だった

  • サニー

    黒猫チェルシー

    美しい女の子は正義だが、美しい男の子も正義だ。 コアな音楽性を気取るわりにいつだって洒脱な佇まいでいる彼らがあまり好きではなかったが、久しぶりに聴いてみればなんとも美しい若者たちだった。 その初期はどうも、出来杉君のようで気に入らなかった。ハタチにもならず映画デビューした渡辺大知。メンバー皆十代なのに、バンドの音楽性は、INUやスターリンに影響を受けたと言われている硬派なガレージパンク

  • ランアンドラン

    KANA-BOON

    若手正統派ロックバンドの大本命としてここ数年認知されているが、その原型は言われるほど「正統派」では無かった気がする。百歩譲ってイケメンでないことは置いておくとしても、谷口鮪の声には独特のねちっこさがあったし、楽曲もポップではあるが日本人好みの泣きメロは比較的少なかった。古賀隼斗のギターはまあまあ主張が強かったし。2013年のサマソニを見た時点で、ロックバンドらしさは抜群だったが、大衆の心を掴むなら

  • セツナ

    サニーデイ・サービス

    曽我部恵一は紛れもないミュージシャンズミュージシャンズだ。先輩後輩問わず他のバンドマンや評論家に、曽我部恵一という人間はあまりに讃えられている。愛されすぎて逆に胡散臭いくらいだ。 同業者に愛されるにはいくつか理由がある。人柄もそうだろう。しかしそれよりも鍵になるのは、同じプロであってもなかなかマネできない、マネしようとしない音楽をやっていることだ。 他のミュージシャンに出来なくて、曽我

バラードタグの関連楽曲

  • ハッピーエンド

    back number

    Mr.Children、コブクロ。 わかる。わかるよ、清水依与吏。 back numberが先達から非常に強い影響を受けているのがわかる。 いや、影響という言い方は間違っているかもしれない。 それは、遺伝に近い。 ハッピーエンドは、ドラマティックなバラードである。 他のback numberのバラードと同じように。 日本人好みのメロディライン、切ない恋心の歌詞。 ストリング

  • めぐり逢えたら

    おとぎ話

    古い家具のようなギターの音色でドリーミーなアルペジオを組み立てる。 最後まで厚くならない音像に、盛り上がりに欠ける空虚なメロディが滑っていく。 独特な音楽は多々あれど、その独特さのベクトルにおいて有識者が認知できないような角度で『めぐり逢えたら』を繰り出すおとぎ話は、損極まりない。 新しいジャンルとの融合や、時代のアーキテクチャの有効活用は本当のところオリジナルでもなんでもない。進んでいる時

  • 恋人ができたんだ

    My Hair is Bad

    若々しい。イマドキの若者感、イマドキの恋愛感をどストレートに感じ取れる曲だ。 大衆文化は世相を反映する。とくに音楽はそうだ。 では、どんな大衆音楽が、世相を感じ取るのに向いている音楽なのだろうか。 メッセージ性のある社会派ロックだろうか。海外の最先端を捉えたヒップホップだろうか。インテリジェンスのあるシティポップだろうか。DIYなインディーパンクだろうか。 私は、若者が書いたラブソ

  • 恋をしたのは

    aiko

    aikoはメロディとコードが面白い。 それはよく言われていることだ。 『恋をしたのは』はコンセプチュアルなロングトーンや、イレギュラーな展開を取り入れた曲だ。一度きりの大サビのために、aikoは確信犯的に楽曲をセーブしている。遊んでいるなあと思う。曲で。とても実験的な曲だが、それをポップスとして組み立てる接着剤になっているのは、変幻自在なコード感とそれに溶け込んだメロディだ。aikoのメロ

  • ラストシーン

    いきものがかり

    私事ですが、父が『いきものがかり』を好きなようだ。 70年代に10代の大半をすごし、EAGLESの大ファンを自認する古き良きロックオヤジである父だが、根っこはミーハーな人間で、ここ十年弱は家族の誰よりもAKBに詳しい日々を過ごしている。けなげな女の子に騙されるタイプのようで、例によって吉岡聖恵の素朴な佇まいにやられた口だ。PVのストーリー、吉岡聖恵、ブレス、裏声、ストリングス、吉岡聖恵、練られた

  • 最高なしあわせ

    加藤ミリヤ

    サビの出だしが、「最高なしあわせ」ではじまる。その譜割りがとても良い。 「し」と「あ」が繋がって発音される様がとても洋楽的である。 奇抜一歩手前まで攻めるファッションからして、そんじゃそこらの可愛いだけの女とは違う、というパッションが伝わってくるだけあって、『最高のしあわせ』のようなバラードであっても、お茶の間のテレビには似合わさない大人っぽいアレンジである。 この世界には、加藤ミリ

女性ボーカルタグの関連楽曲

  • しゅっとこどっこい

    バンドじゃないもん!

    鈴木美早子は侮れない。 明るく愛嬌があって、媚びないけど隙があって壁がない。 ロックバンドの紅一点として、バンドを壊さないままメンバーをモチベートし躍進させるために生まれてきたかのような女性だと思う。 その意味ではみさこは本質的にアイドルではないかもしれない。 アイドルは一般的に、媚びるけど、隙がなくて、壁があるからだ。 そのみさこがバンドじゃないもん!をはじめたとき、私はまた彼

  • 最&高

    きゃりーぱみゅぱみゅ

    楽しいながらも落ち着きのある普通に良い曲。サビは「さぁいえんこぅ!」の語感一発で、こてこてになりがちなジャンルの中で逆に整然としたものを感じる。青文字系という文脈抜きにきゃりーぱみゅぱみゅは語れないが、この曲では"泣かない負けないうろたえない 宴会じみてる毎日に"という歌詞にその世界観がギュウギュウに詰まっている。 ゴールを設定しそこに積み上げる毎日を丁寧に暮らすのではなく、宴会じみてる毎日

  • STARTING NOW!

    水樹奈々

    アニソン界の覇権を握ったまま長いが、そのボーカルスタイルはアニメ声とは程遠い。当初から、声優ではなく本格的な歌手を志していた背景からして後続とは一線を画している。 『STARTING NOW!』はストイックでハードなロックサウンドがかっこいい。 水樹奈々の十八番といえるこのスタイル。無論、歌唱技術には余裕しか感じない。 ハードロック出自のヘヴィーな楽器隊とポップなボーカルの対比は、Jud

  • 夜空を全部

    sora tob sakana

    拝啓、オルタナティブ夏の夜。 東京の冬は寒いです。 2017年は特急列車のように過ぎ去ってゆきます。 星を見る間もなく、小さなiPhoneの画面上で繰り広げられる宇宙に私たちは喜怒哀楽を捧げるようになりました。夜空を全部束ねてみたら、いいねのひとつでも貰えるかもしれません。 あの頃とは何もかもが違いますね。しかし、それで良いのかもしれません。私たちはそのときどきに目の前を通

  • さよならスカイライン

    ラッキーオールドサン

    圧倒的に聴きやすいのに圧倒的に独自性に満ちている。 あなたが古き良き温かい時代に生まれずに、絶望ばかりのこんな時代に生きていることを恨んでいるのなら、 あるいは、 失われた青春時代の自分から、今の自分はどうしてここまでかけ離れてしまったのかと嘆いているのなら、 あなたが聴くべき音楽は、 あなたにとっての懐メロではなく、 ラッキーオールドサンだ。 ラッキ

  • 恋をしたのは

    aiko

    aikoはメロディとコードが面白い。 それはよく言われていることだ。 『恋をしたのは』はコンセプチュアルなロングトーンや、イレギュラーな展開を取り入れた曲だ。一度きりの大サビのために、aikoは確信犯的に楽曲をセーブしている。遊んでいるなあと思う。曲で。とても実験的な曲だが、それをポップスとして組み立てる接着剤になっているのは、変幻自在なコード感とそれに溶け込んだメロディだ。aikoのメロ

  • ラストシーン

    いきものがかり

    私事ですが、父が『いきものがかり』を好きなようだ。 70年代に10代の大半をすごし、EAGLESの大ファンを自認する古き良きロックオヤジである父だが、根っこはミーハーな人間で、ここ十年弱は家族の誰よりもAKBに詳しい日々を過ごしている。けなげな女の子に騙されるタイプのようで、例によって吉岡聖恵の素朴な佇まいにやられた口だ。PVのストーリー、吉岡聖恵、ブレス、裏声、ストリングス、吉岡聖恵、練られた

サブカルタグの関連楽曲

  • すなっちゃん・なっぽー

    BELLRING少女ハート

    キャッチーで甘いメロディ。切ないディストーションギター。 それをところどころで、破壊する楽曲構成がすごい。 なんと途中で急にジャズになってしまう。 そのジャズは、取ってつけたような感があるんだけど、取ってつけたような感こそが面白く思えるのはなぜだろう。 結局どこがサビなのかわからなかった。 舌っ足らずなユニゾンが醸し出す素人感。 最後は咳き込んで終わる。 『すなっちゃん・なっぽー

  • ニューロマンサー

    おやすみホログラム

    ウィリアム・ギブスン! 近代的なダンスビートと、キッチュなメロディラインは、そのタイトルに相応しいSF的高揚感に満ちている。 "ありふれた感情の墓場って 全くこんな感じだって" クールに怪しく激走するイントロからのハスキーな歌い出しがむちゃくちゃ格好良い。 ワンコーラス終わった後、自由に展開しはじめる主旋律も、曲の混沌を深め、いい具合にリスナーを迷わせる。 工場?を舞台に撮

  • Summer Soul

    cero

    上質だ。これぞ真の音楽好きが真の音楽好きに自信をもってレコメンドできる最高に上質でソフィスティケートされたジャンル越境ポップロックミュージックだ。 ベースが良い。 超聴こえる。 ベースを聴かせるバンドは大抵良いバンドだ。 ドラムが良い。 タムで刻み、金物をキーボードのように聴かせるバンドは大抵良いバンドだ。 テクニカルなのに、編曲に嫌味がない。 こういうのをズルいと言う。

  • セツナ

    サニーデイ・サービス

    曽我部恵一は紛れもないミュージシャンズミュージシャンズだ。先輩後輩問わず他のバンドマンや評論家に、曽我部恵一という人間はあまりに讃えられている。愛されすぎて逆に胡散臭いくらいだ。 同業者に愛されるにはいくつか理由がある。人柄もそうだろう。しかしそれよりも鍵になるのは、同じプロであってもなかなかマネできない、マネしようとしない音楽をやっていることだ。 他のミュージシャンに出来なくて、曽我

line_banner
愛のゆくえ(通常盤)
愛のゆくえ(通常盤)
posted with amazlet at 16.11.20
きのこ帝国
ユニバーサル ミュージック (2016-11-02)
売り上げランキング: 3,541
フェイクワールドワンダーランド
きのこ帝国
DAIZAWA RECORDS/UK.PROJECT (2014-10-29)
売り上げランキング: 4,223
×
  • 猫とアレルギー / きのこ帝国 #弾き語り #きのこ帝国 https://t.co/Oh7yt3Bf8i by @jinsei_atogaki_

  • @lvmgmg きのこ帝国さんの猫とアレルギーという曲がもしゃさんのティキラビの雰囲気にあってるなーと個人的に思っております!! by @shidororodesu

  • いろんなことがあったけど 思い出すのはあの日々ばかり 話せなくていい 会えなくてもいい ただこの瞬間こっちを見ていて 猫とアレルギー / きのこ帝国 https://t.co/3Pel7Gm3EX by @namidasetsuna2

  • @Ogsppa きのこ帝国よいですね 猫とアレルギーはアルバム全体が好きだなぁ( ◜ω◝ ) by @kk08_R

  • RT @amasehimika147: コード111「天国と地獄」のエネルギーと呼応するだけに実に妙な楽曲 きのこ帝国 - 猫とアレルギー https://t.co/ybDxAAtAtT by @KON02511045

  • @kyeun3 きのこ帝国の猫とアレルギーって 曲おすすめです!ヴォーカルが猫アレルギーで 好きなのに近づけないって思いを人間に当てはめて書いた曲で良い曲です是非😊 by @xxv_025

  • #Nowplaying 猫とアレルギー - きのこ帝国 (猫とアレルギー) by @lovexx_moon

  • RT @amasehimika147: コード111「天国と地獄」のエネルギーと呼応するだけに実に妙な楽曲 きのこ帝国 - 猫とアレルギー https://t.co/ybDxAAtAtT by @arimeow10

  • RT @amasehimika147: コード111「天国と地獄」のエネルギーと呼応するだけに実に妙な楽曲 きのこ帝国 - 猫とアレルギー https://t.co/ybDxAAtAtT by @rina393912

  • @ringono__ki ストレイテナーは最近僕も聴くようになったんですけどめっちゃいいですよ🙆‍♂️ おすすめは Melodic Storm 冬の太陽 タイムリープ シーグラス きのこ帝国は タイトロープ 猫とアレルギー クロノスタシス 東京 です🙌🙌 by @04_gen_chikuwa