絶滅危惧種を見た気分
いまどきこんな純度の高いなハードコアバンドがいたとは。
シンプルなリフが良い。
結局グッドメロディじゃないか、みたいな甘っちょろいところが無いのが良い。
こんなバンドに対してあえて言いたいが、パンクロッカー労働組合はとても音楽的である。
激しいだけの音楽ならいくらでも生まれうる世の中で、本当の激情はヤケクソの絶叫や衝動の雑な発散ではなく、ゾクゾクするリフや、それと丁寧に一体化したメロディにこそ宿るのだと思い出させてくれる曲。
作曲も良いが演奏も良い。
パンクだから下手でも良いなんてのは、何かの勘違いだったのだろう。
気持ちは表現に宿る。であれば、表現力というやつは確かに必要なのだ。
実情は分からないが、このパンクバンドは、日本のメロコア、ポップパンク、青春パンクを通過した形跡が見当たらない。少なくともその形跡が残っていない。
なによりもそれがすごいと思う。
一見、初期パンクやアングラパンク然としたバンドでも、入り口はモンパチだったみたいなバンドは沢山いる。
カップリングやアルバムでハードなサウンドや反体制をブっても、リードシングルではZARDと同じコード進行じゃねえか、みたいなやつらだ。
しかし、パンクロッカー労働組合は60~70年代の国内パンクのどぎつい感じこそが核になっており、決してそれが背伸びでも虚勢でもないことが一聴してわかる。
INUやあぶらだこに影響を受けているのだろうか。
プロレタリアートのグツグツと煮えた魂にバリバリのリアリティを感じる。
とはいえ時代は違うのだ。混沌が煌めいた60年代はとっくに終わり、現代は、強い主張は何もかもが斜に構えた正論に封じられる10年代だ。
この開き直り悟り社会で、その迷いの無さをどうやって、どこで育ててこれたのだろうか。
絶滅危惧種を見た気分になってくる。
しかし、それは決して時代錯誤なんかじゃないことが音楽を聴けば分かる。
これが流行ったら日本も捨てたもんじゃない。
彼らが拠点にしている高円寺にはまだこんな雰囲気があるのだとしたら、沿線に住んでいる私はすぐに引っ越したほうが良い。PVのクリエイティブや、デモ活動など含めて、気持ち良いほどブレがない。
これが流行ったら日本も捨てたもんじゃない。
ていうかオーバーグラウンドになるのは無理じゃないのか。
すっごい好きだけど。
あと、ネット上では普通にピースフルなのも面白い。ここだけ現代風。
( Written Dec 07, 2016 )
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