歌謡曲が永久欠番にしたメロディ
円盤少女の和田純次はめっちゃ良いメロディを書く。
ただただ良いメロディを書く。
それ以上でもそれ以下でもない。良いメロディを書く。
これ。きっとまだ世の中のほとんどの人は知らないと思うんだけど、私は声を大にして言いたい。この人の書くメロディは良い。
明るく切ない、日本の歌謡曲の正道を行く美しいメロディだ。
とてもベタで王道だ。
でも決して安易ではない。
あーあ。ってなりそうなギリギリのところで、メロディが逆方向に折れ曲がって、オッて思わせてくれる。ギリギリのところでコード進行にもうワンチャンスある。
新しいメロディはもう生まれないと、もう何年も前から言われている。
事実、最先端と呼ばれるアーティストたちは、歌ものなんてとっくに諦めている。
和田純次のメロディは新しくないかもしれない。
でも、あーあ。ってなっちゃう安易なメロディじゃない。
古典的な歌謡曲が永久欠番にしてしまったズルいメロディたちを、ギリギリのところで使いこなしている。
こんなことできるソングライター、いまほとんどいないと思う。織田哲郎とかそういうレベルだと思う。
これはけっこう真面目に思っているんだけど。
和田純次はメロディメイクの際の綱渡り的なベクトルを、歌詞でも志向している。歌詞も良いと思う。ベタで甘く青い世界観だけど、こっ恥ずかしくない。言葉も自分の言葉だ。歌の題材も彼の世界から出てきている。聴けば分かる。上手いと思う。ああ素敵だなと思う。
サウンドはシンプルだ。
いじわるに言えば、意外性はない。
しかし、メロディと歌詞の良さがビンビンに響いてくる潔いバンドサウンドだ。
ギターのリフやオブリガードも、ポップスに相応しいメロディを鳴らしていると思う。
『あの娘のギターはタイムマシン』は彼らの中でも特に完成度の高い曲だ。完璧だと思う。大好きだ。美しいメロディだなと思う。中学生のとき、はじめてのCDを買う前に『小さな恋のうた』を口ずさんでいたように、『あの娘のギターはタイムマシン』を口ずさんでいる自分がいる。
日本のロックは案外悪くない歴史を歩んできたのかもしれない。
円盤少女を聴いてそう思った。
こんな何の変哲もないバンドサウンドと歌心のあるメロディだけで、それでもグッと来てしまう。私もいろんな音楽を聴いてきた気がするんだけど、いろんな理屈を知ってきた気がするんだけど、理屈じゃないんだなあと思う。
しかし、私もこれを書いていて思うが、円盤少女と和田純次の良さを言葉にするのは随分とむずかしい。理屈による証明に持っていけない。だから私は円盤少女の良さを伝える、誰もが納得してくれる文章を完成させることを諦めた。だからこんな取り留めのない文章を書いている。大したことは何も書けてはいないけど、ここで一発何かしら書いておかないと、自分自身の耳に不誠実な気がしたから。円盤少女に不誠実なんじゃない、自分にとっての不誠実。まじで良いと思ったんだぜ。
私は円盤少女の追っかけにはならないだろう。今だって、ファンだなんて自信持てるほど聴き込んではいないのかもしれない。でも今後、彼らによってもっと良い曲が書かれるだろうと私は普通に思っている。それを自分は聴くだろうなと思う。
( Written Jul 01, 2017 )
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